猛虎魂

この夏は甲子園も熱かった。大逆転の試合が何度もあり、最後の大投手戦。その最後を締め括ったのが今日の青龍白虎相打つ闘い。安定感抜群の福原を中4日で立てるも、早々にKO。しかも相手は川上とくれば、シュンとなるのが関の山だったが、この日は違った。中継ぎ陣が必死に繋いでいる間にシーツの2ラン、桧山のフェンス直撃打で1点差に。そして8回、金本四球のあと、浜中が左中間スタンドへ逆転の一発。その余韻も冷めやらぬうちに続く鳥谷が右中間スタンドへ追い討ち。逆に2点差をつけて最終回へ。
と、なれば最後のマウンドに立つのはこの男。昨日のリベンジを果たすべく気合ビンビン。しかし、さすがは首位ドラゴンズ、福留のタイムリーで1点差で尚一二塁で最後はタイロンウッズとの力勝負。ここで岡田監督自らマウンドへ。去年の9月7日のナゴヤドームで久保田に助言して以来か。「お前しかおらん」この一言で開き直ったか、痺れるような真っ直ぐで空振り、空振り、ファール、ハーフスイング・・1球毎にどよめくスタンド。明暗、天国か、地獄か。最後は真ん中高目へまさに渾身の1球。バットは空を切り、試合は終わった。何度も拳を握る矢野。夜空に放たれた無数のジェット風船。何かが解放された瞬間だった。今日観た子供は一生忘れないだろうね。それだけお互いの魂が篭った試合だった。
この3連戦2勝1分。ゲーム差など関係なし。一位と二位のガチンコ勝負だった。思えば球児のお立ち台での涙で、選手もファンも真の意味での一体感が出てきたように思う。遅くはないさ。あと7ゲーム、遠いようだが、意外にあっという間に縮まるかもしれない。落合監督にしてみれば、1つでも勝てば完全に息の根を止められただろうが、逆に勢いを与える結果となってしまった。
最後まで。信じよう。奇跡とは、諦めない人の許に訪れるのだから。