強者の驕り

先発杉山を5回のチャンスで代打を送り、これが見事に的中して3-1と逆転。この時点で岡田監督だけでなく、全てのタイガースファンがJFK今季初の揃い踏みで連勝へのシナリオを描いた筈。が、現実はそんな簡単に行く筈も無く。そもそも数多く投手を投入するという事は、その中に調子の悪い奴も居る訳で、非常にリスキーだ。

で、今日は初登板で気合満々のジェフ以外のダーウィン、藤川、久保田が皆イマイチだった。それに加えて打撃陣も八試合連続で一ケタ安打と底の状態。まあ、それは長いシーズンそういう時期もあるので仕方がないが、観ていて気になったのは、どうもイーグルスに対して油断というか、舐めてかかっているような気がしてならない。「どうせその内勝手にコケルやろ」とか思っているんじゃないか。何か必死さが伝わらないのだ。

逆にイーグルスサイドにしてみれば、昨日も今日も正しい野球をしているはこっちの方。戦力では劣っても、ひたむきにコツコツと喰らい付き野手の間へ転がしていく。長打は無いが、塁上を常に賑わし、試合の流れを掴んでいた。

9回、方程式のファイナルアンサー久保田が先頭沖原から連続四球。代打酒井が初球鮮やかに三塁線に転がす。続く鉄平が初球「打ってください」のスライダーを叩きつけて逆転タイムリーと美しい攻撃。更に四球で繋ぎ、憲史の投ゴロを尋常の状態でない久保田がジャックル&一塁悪送球とまさに一人相撲の見本のような醜態。神様は正しい行いをしている側に救いの手を差し伸べるモノなのだ。

思えば、ほんの5年くらい前までノムさんの許で同じ様な野球を展開していたんだよ。足りない戦力で大観衆の後押しを受けながら必死に強者ジャイアンツに喰らい付いて行ってじゃないか。リードして終盤、お決まりのように遠山-葛西と繋いで松井や由伸を死ぬ思いでかわしていったあの頃。

俺がジャイアンツファンを辞めたのは「球界の盟主」と自称し何もかも自分達の思い通りに事を動かす体質が嫌だったから。そんなジャイアンツにひたむきに挑んで行くタイガースが好きだった。それが今はどうだ。立場が逆転し、アウェーでも球場は大入りになる。確かに強くて人気もあるよ。でもそれに胡坐をかいていないか?今日JFKで勝てれば一気にペナントの流れを掴めただろう。しかし勝利よりも大事なものがある。それを気付かせてくれただけでもこの試合は価値があった。岡田監督はそういうのを理解出来る人だと信じている。

イーグルス、いいチームだね。カツノリ、沖原、吉田、中谷、山村・・暗黒時代に共に戦っていた選手達が必死に頑張っている。戦力が足りない上にフェルナンデス、磯部といった主力も万全でない。でも鉄平、牧田、一場、岩隈と未来を感じさせる選手も居る。5年前に誰が今のタイガースを予想出来た?そんなチームでも強くなったんだ。イーグルスも東北のファンと共に正しい道を歩けば常勝チームになれるさ。
さあ、明日から月も替わる。恩返しに完膚無きまでに叩きのめせ!

ジャイアンツ復活だね!